【開催報告】大学発医療系スタートアップ支援プログラム GET2025 Boot Camp
- 開催概要
- 開催日:2025年4月19日(土)9:30~17:00
- 開催場所:東京ミッドタウン八重洲 カンファレンスイベントスペース 5階
- 主催:筑波大学つくば臨床医学研究開発機構(T-CReDO)
- 参加者:Research Studio連携大学も含めたアカデミア関係者、文部科学省、日本医療研究開発機構(AMED)、製薬・医療機器関連企業、スタートアップ、VC(ベンチャーキャピタル)関係者等
- 合計75名が参加
本イベントは、大学発の医療系シーズの社会実装を加速するため、研究者、行政、産業界、支援機関が一堂に会し、医薬品・医療機器の研究開発とビジネスモデルに関する教育的な講演や情報のUpdateに加え、開発計画策定(TPP)コースに進むチームの選考を行うことを目的に開催された。午前は講演セッション、午後はピッチセッションという二部構成で行われ、ネットワーキングの機会も設定された。

- 開会式および来賓挨拶
- 開会挨拶:町野 毅 先生(T-CReDO 橋渡し研究推進センター長)
本プログラムの目的と、アカデミア発シーズの社会実装に向けた意義を強調。 - 来賓挨拶:
・村越 幸史 様(文部科学省 研究振興局ライフサイエンス課)
国の科学技術・イノベーション政策における大学発スタートアップ支援の位置付けについて紹介。
・久保庭 均 様(シーズ開発・研究基盤事業部 拠点研究事業課「大学発医療系スタートアップ支援プログラム」 プログラムスーパーバイザー)
今回の支援プログラムの全体像および全国展開への構想を説明。 - 閉会挨拶:橋本 幸一 先生(T-CReDO 機構長)
今後の継続的な支援と連携強化への期待を表明。
- 講演セッション
- 池浦 義典 先生(シコニアバイオベンチャーズ)
「急速に進化する製薬業界とバイオベンチャーへの期待」
米国との比較における日本の創薬環境の課題と、今後のエコシステム構築の必要性について講演。特に医薬品開発におけるニーズの明確化、炎症・免疫領域の成長可能性について言及。
- 清水 美雪 先生(株式会社メディカルラボパートナーズ)
「医療機器の開発計画の立て方~こんなところに気を付けて~」
医療機器開発は「旅行の計画」に例えられ、明確な目標設定と仕様設計、計画と評価の反復が重要であることを解説。
- 中内 靖 先生(筑波大学 副学長)
「筑波大学のスタートアップ支援について」
自身の起業経験に基づき、研究開発とビジネスの両立の難しさと、筑波大学の支援体制について紹介。
- 大槻 雄士 様(株式会社FerroptoCure)
「SPARK Global showcaseについて」
フェロトーシスを活用した創薬アプローチと、研究者からビジネスへのシフトにおけるチーム構成の変化を紹介。
- 林 行和 様(AMED)
「AMEDにおけるスタートアップ支援」
AMEDにおける創薬ベンチャー支援の現況と、研究者と投資家の共通言語づくりの必要性を指摘。


- ピッチセッション(8チーム)
医療機器部門(5チーム)
- YIM YOUCHAN(筑波大学):不安軽減デバイスの開発
- 山本 巧真(筑波大学):吃音感知・多感覚刺激による発話支援デバイス
- 善甫 啓一(筑波大学):PTSD治療用音刺激デバイス
- 長野 拓也(東京科学大学):舌癌定位放射線治療用口腔デバイスの開発、海外展開も視野
- 小川 良磨(千葉大学):リンパ浮腫診断用EIT医療機器の開発
医薬品部門(3チーム)
- 大宮 誠(筑波大学/アステラス製薬):早朝覚醒型不眠症向け治療薬開発
- 福山 隆(北里研究所):ADC抗体薬による乳がん治療技術
- 喜納 信也(北里大学):稀少遺伝性疾患向け治療法開発(ピッチは非公開情報が多く審査対象外)
各チームには、Research Studioでメンタリングを担う経験豊富な開発経験者による実践的アドバイスがなされた。さらに、ピッチの方法に関して、ピッチ構成の3要素(Why, What, How)や具体的に数値で示すことが重要であることも示された。

- 成果と評価
- 審査対象の7チームはすべて、開発計画策定(TPP)コースに進む資格を有する旨のcertificateが授与された。
- 筑波大学/アステラス製薬の大宮 誠 先生(早朝覚醒型不眠症の治療薬開発)がBestピッチAwardを受賞した。
- 本イベントを通じて、研究段階から社会実装に至るまでの橋渡しとなる具体的な視点やスキルが共有され、実用化へのモチベーションの向上が見られた。

(T-CReDO橋本機構長から大宮先生にBestピッチAwardを授与された)
- 今後の予定
5月から開発計画策定(TPP)コースが開講予定であり、Boto Camp参加チームを主体に開発計画のブラッシュアップを進めていく予定である。

7.参考資料(当日のタイムテーブル)
