サーチスタジオ

開催報告

【開催報告】大学発医療系スタートアップ支援プログラム GET2025 For Business Planning

1. 開催概要

2025年6月7日(土)、秋葉原UDX 6階 UDXカンファレンスRoom A・Bにおいて、「橋渡し研究プログラム(大学発医療系スタートアップ支援プログラム)For Business Planning」を開催致しました。主催は筑波大学つくば臨床医学研究開発機構(T-CReDO)で、Research Studio連携大学(筑波大学、大阪大学、岡山大学、慶應義塾大学)の研究者や製薬・医療機器関連企業の関係者、スタートアップ・ベンチャーキャピタル(VC)関係者など、多様な参加者が集まりました。 本イベントでは、2025年5月に実施した「開発計画策定(TPP)コース」を修了したチームによる成果報告に加え、6月末より開始予定の「事業計画策定(BP)コース」に参加するチームの選抜を兼ねたピッチコンテストが行われました。さらに、午前・午後のピッチセッションの合間には、医療系スタートアップに関連する教育講演セッションが実施され、参加者同士の交流(ネットワーキング)の機会も設けられました。

2. 開会式

開会式では、筑波大学 T-CReDO橋渡し研究推進センターの町野毅センター長より挨拶があり、本プログラムの目的やアカデミア発のシーズを社会実装へとつなげる意義について強調されました。

3. ピッチセッション(日本語)(7チーム)

ピッチセッションは午前・午後の二部構成で行われ、計7チームが自らの研究プロジェクトについて発表を行いました。各セッションには、TPPコースでメンターを務めた方々をはじめ、創薬や医療機器開発、ビジネス分野の専門家など複数の指定発言者(コメンテーター)が参加し、発表チームに対して実践的なアドバイスや講評を行いました。

午前の部では、筑波大学から4チームが登壇しました(※このうち1チームはTPPコース修了の成果発表のみ実施)。発表テーマは、ディストラクション効果を用いた吃音者向け発話支援装置の開発、新規の音刺激によるPTSD治療法の開発、早朝覚醒型不眠症に対する治療薬の開発、そして精神医療のボトルネックを解消するAIソリューションの提案など、多岐にわたりました。座長は大阪大学の中谷大作先生が務められ、指定発言者として参加頂いた安田研一氏(フリーランスコンサルタント)、向平隆博氏(TNAX Biopharma株式会社)、山寺純氏(株式会社Eyes, JAPAN)より、各チームに対して専門的な視点からのコメントや助言が寄せられました。

(ピッチセッションでの質疑応答の様子) 

午後の部では、筑波大学以外から参加した3チームが登壇しました。家族性大腸腺腫症に対する治療用ワクチンの開発、進行性・加齢性疾患の治療法開発を目指した稀少疾患研究の展開、舌がん患者のQOLを守るための陰圧式スペーサーと口腔内マーカーを用いた高精度放射線治療システムの開発など、特色あるプロジェクトがピッチ発表されました。岡山大学の菊池崇先生が座長を務め、清水美雪氏(株式会社メディカルラボパートナーズ)、藤波亮氏(新生キャピタルパートナーズ株式会社)、井上智子氏(Red Capital株式会社)が指定発言者として参加し、活発な質疑応答と講評が行われました。

(ピッチセッションでの質疑応答の様子) 

4. 基調講演セッション

まず、リジェネフロ株式会社 代表取締役CEOの森中紹文氏が「スタートアップのはじめかた。スタートアップ、ベンチャーキャピタルの経験から」と題してご講演頂きました。森中氏はご自身の起業やベンチャーキャピタルでの活動経験を踏まえて、研究開発のシーズを事業化する際に直面する課題やその乗り越え方について具体的に紹介されました。アカデミアの研究者が起業に挑戦する意義や、投資を受けながら事業を成長させていくためのポイントなど、多くの示唆を与える内容でした。

(森中氏の講演) 

2題目は、IE University School of Science and TechnologyのDavid Y. Marcos氏より“From Research to Start up, From Researcher to Entrepreneur – An exciting path worth being explored” と題して講演頂きました。Marcos氏は、研究者がスタートアップの際に重要となる視点についてシンプルな切り口から聴衆に問いかけました。起業に挑戦することで得られる新たな視野の重要性が強調されており、参加者にとって大いに刺激となる内容でした。

(Marcos氏の講演) 

5. BPコース採択者発表、TPPコース修了証授与、ベストピッチ賞の発表

審査の結果、BPコース受講サーティフィケイトは、以下の5チームに授与されました。

受講許可チーム所属・代表者(敬称略)プロジェクト概要
神戸颯斗筑波大学音刺激を用いた PTSD 新規治療法の開発
平野有沙筑波大学早朝覚醒型不眠症治療薬の開発
住田能弘岡山大学家族性大腸腺腫症に対する治療ワクチンの開発
藤岡正人北里大学稀少遺伝性疾患に焦点を当てた進行性/加齢性疾患治療法の開発
長野拓也東京科学大学舌がん定位放射線治療を目指す陰圧スペーサーと口腔内マーカーの開発

参加者投票で選出されたベストピッチ賞は、神戸颯斗チームへ贈られました。審査員からは「まだ学生であるにもかかわらず、わかりやすく構成されたスライドを用いて、明快に社会実装への道筋を示した点」を高く評価されました。なお、TPPコースを修了した4チームには修了証を授与しています。

(T-CReDO橋本機構長から神戸氏にベストピッチ賞が授与された) 
(参加者の集合写真) 

5. 当日のタイムテーブル