【開催報告】アカデミア発医療系起業家育成プログラム

概要
筑波大学では、2018年よりアカデミア発の医療系スタートアップ人材育成プラットホーム「Research Studio powered by SPARK」を運営しており、2024年度は6月から10月にかけて「Mini workshop」「Boot Camp」「国内研修」「Pitch Event」を開催しました。
「Mini workshop」では、橋渡し研究拠点大学を中心に連携大学を訪問し、アカデミア発の医療系スタートアップ起業を目指すチームの掘り起こし、および支援を目的として、シーズを有する研究者に対する説明会および個別相談会を実施しました。
8月に「Boot Camp」を開催し、基調講演と参加者のサイエンスピッチを行いました。
8月末から9月に開発計画策定および事業計画策定に係る全5回の「国内研修」プログラムを実施しました。多方面で専門性を有するメンターの協力の下、アカデミアにある技術シーズを基に医療ニーズについて徹底的に議論し、グローバル市場を視野に入れた開発計画および事業計画を立案します。
10月には医薬品・医療機器を対象に公募を行い、「Pitch Event」を開催しました。こちらのイベントはMEDISO事業のResearch Studioに過去参加したチームにもピッチへ登壇いただきました。また、スタートアップ起業支援エコシステムの現状と今後の展開についてVCとアカデミアそれぞれの立場からパネルディスカッションを行いました。
スケジュール

Mini Workshop
2024年度のResearch Studioの説明会とともに、支援対象となる研究者およびチームの掘り起こしを目的として個別相談会を行う、Mini Workshopを6月から7月にかけて実施しました。
まず、学内でのシーズ掘り起こしのため、筑波大学 産学連携企画課 革新的創薬開発研究センター (IDD)(6月25日)、 筑波大学サイバニクス研究センター(6月19日)においてMiniWorkshopを開催しました。他つくば地域では、つくばAISTソリューション(7月19日)、物質材料研究所においても個別相談会を実施しました。
連携拠点大学では、岡山大学(7月3日)、千葉大学(7月5日)、九州大学(7月12日)、においてMini Workshopを開催しました。
開催地 | 発表者 | シーズタイトル |
千葉大学 | なし | |
岡山大学 | 長谷井 嬢 氏 | 骨軟部腫瘍診療のための医師間相談システム |
中山 雅敬 氏 | 慢性腎臓病を治療可能にする薬剤シーズの開発について | |
内山 淳平 氏 | 人工抗菌酵素の研究開発 | |
九州大学 | 二井 偉暢 氏 | 胚培養技術の産業応用化 |
AISTソリューション | 川口拓之 氏 (産総研) | fNIRSによる脳波測定 |
金誠培 氏 (産総研) | アルブミンの高感度測定の医療応用 |
各開催地で、複数の研究者やチームが参加されました。研究成果を基に事業化を目指す研究者がNon-confidentialな情報に限って5分間程度で発表するともに、研究者が抱える疑問や課題についてメンター陣が直接相談にのり、各研究者の考えている事業化の方向性をブラッシュアップすることができました。

Boot Campイベント(8月3日開催)
2024年8月3日(土)、日本橋ライフサイエンスビルにおいて、Research Studio 2024 Boot Campを開催いたしました。本イベントは現地開催のみで行われ、約50名の方が参加されました。
医療系シーズを有し、社会実装を目指す方を対象に募集を行い、7名の方がピッチに応募されました。講義・グループワークを通して保有シーズのTPPとValue Propositionをブラッシュアップすることを目的としてピッチにご応募されました。またサイエンスピッチやグループワークを通じて、ビジネス、医療・臨床経験のある参加者とのネットワーキングを行いました。
厚生労働省 医政局 医薬産業振興・医療情報企画課の藤井大資氏の藤井大資氏より来賓挨拶があり、続いて、東京工業大学の辻本将晴氏よりGTIEプログラムについてご紹介いただきました。
基調講演として、筑波大学客員教授である、株式会社レクメドの松本氏から「26年間ベンチャーを経営して見たこと伝えたいこと」と、MedVenture Partnersの大下創氏より「医療機器スタートアップのリアル(起業にあたり考えておくべきこと)」を講演いただきました。



ピッチセッションでは、参加7チームが5分間のピッチと18分間の質疑応答を行いました。保有しているシーズの紹介をしていただき、質疑応答ではTPPとValue positionをブラッシュアップするため、メンター陣および参加者からもコメントや質問が行われ議論が盛り上がりました。

国内研修プログラム
国内研修プログラム参加者を公募し、選考された5チームを対象に下記全5回の開発計画策定および事業計画策定を行う本プログラムをオンラインにて開催しました。
日程 | 開催日 | テーマ |
第1回 | 08月28日(水)18:00~21:00 | 価値提案(医療ニーズおよび競合分析) |
第2回 | 09月04日(水)18:00~21:00 | TPPの検討作成 |
第3回 | 09月11日(水)18:00~21:00 | 研究開発戦略(非臨床POCと知財戦略) |
第4回 | 09月25日(水)18:00~21:00 | ビジネスモデルと海外展開(市場調査) |
第5回 | 10月02日(水)18:00~21:00 | ロードマップ検討(資金調達・出口戦略・資本政策) |
本プログラムでは、前半の開発計画策定プログラムと同様に選考された以下5チームが参加し、講師によるミニレクチャーを聴講しました。その後、各チームが毎回課題を発表するとともにチューターおよびメンターも参加してグループ討議を行いました。また、各チームの課題を深堀することを目的に5チームは個別にチーム討議を実施し、各回の最後に参加チームからチーム討議の振り返りに関して発表しました。
氏名 | 所属 | シーズタイトル | |
1 | 内山 淳平 | 岡山大学 | 抗緑膿菌の人工抗菌酵素「27DS」を含む点眼薬の研究開発 R&D of eye drops containing “27DS”, an enzybiotic against Pseudomonas aeruginosa |
2 | 升森 泰 | 聖マリアンナ医科大学 | AI技術を活用した自動気管挿管装置の開発事業 Development of an automated intubation device using AI |
3 | 大竹 敦 | 慶應義塾大学 | ダイヤモンドマイクロ電極の量産技術開発と医療応用 Development of Production Technology and Medical Applications of Diamond Microelectrode |
4 | 藤山 聡 | 筑波大学 | 早産児の安全性が担保された保育器を実現する装置 Devices for safety-assured incubators for preterm infants |
5 | 川口 拓之 | 産業技術総合研究所 | 脳卒中リハビリテーションでの脳活動モニタリング装置 Brain activity monitor for stroke neurorehabilitation |

Pitch Event(10月12日開催)
2024 年10 月12 日(土)、CIC Tokyo において、Research Studio2024 のピッチイベントを開催しました。
本イベントの開催報告はこちらをご覧ください。
修了生の写真



今後のResearch Studioについて
本プログラムを終了した複数のチームが他のピッチイベント等に登壇するとともに、その活動を評価されています。また、海外で起業するチームも認められており、国際的な開発戦略を有する医療系ベンチャーの起業や発展につながる人材育成プラットホームとして、今後も運営を継続していく方針です。