サーチスタジオ

開催報告

【開催報告】大学発医療系スタートアップ支援プログラム Business Planning(BP)コース成果報告会

1. 開催概要 

2025年7月26日(土)、東京都港区虎ノ門のCIC Tokyo15階Venture Cafeにおいて、「橋渡し研究プログラム(大学発医療系スタートアップ支援プログラム)GET Program 2025 Business Planning (BP)コース成果報告会」(筑波大学つくば臨床医学研究開発機構(T-CReDO)主催)が開催されました。Research Studio連携大学(筑波大学、大阪大学、岡山大学、慶應義塾大学)のARO関係者や研究者、学生、製薬・医療機器関連企業の関係者、スタートアップ・ベンチャーキャピタル(VC)関係者、アクセラレーターなど、様々なバックグラウンドの方々が参加されました。会終了後の集計では、合計60名の方が参加されました。 

本イベントでは、2025年6月から7月にかけて開講した「事業計画策定(BP)コース」を修了したチームによる成果報告が行われました。さらに、アクセラレーターやVC関係者による講演やピッチの見せ方に関する講演、VC関係者・スタートアップ支援者によるパネルセッションのセッションもあり、大変充実したイベントとなりました。本イベント終了後には、参加者同士の交流機会も設けられ、積極的にネットワーキングする様子が見受けられました。 

2.開会式 

開会式では、筑波大学 T-CReDO橋渡し研究推進センター長の町野毅先生が挨拶し、本成果報告会の位置づけや今後のResearch Studioイニシアチブの展開に関してお話がありました。 

その後、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課 課長 倉田佳奈江氏による御挨拶を頂戴しました。
 

3. ピッチセッション(発表言語:日本語/英語、スライド言語:英語)(5チーム) 

ピッチセッションは午前中に行われ、千葉大学 学術研究・イノベーション推進機構(IMO)片桐大輔先生による司会進行のもと、計5チームがBPコースでのメンタリングを踏まえブラッシュアップしたビジネスピッチを披露しました。各ピッチセッション(発表8分、質疑応答10分)では、BPコースでメンターを務めた方々をはじめ、創薬や医療機器開発、ビジネス分野の専門家など複数の指定発言者(コメンテーター)が参加し、発表チームに対して実践的なアドバイスや講評を行い、ピッチ登壇者との間で活発なディスカッションが行われました。 

ピッチセッションに参加した5チームは以下の通りです。 

ピッチ 登壇者・チームメンバー(所属) 「ピッチタイトル」 
喜納信也・藤岡正人(北里大学) 「体質を科学する–進行性/加齢性疾患治療に向けた稀少遺伝性疾患治療法開発」 
神戸颯斗・善甫啓一(筑波大学) 「音刺激によるPTSD新規治療法の開発」 
大宮誠(アステラス製薬)、平野有沙(筑波大学) 「早朝覚醒型不眠症治療薬の開発」 
住田能弘(岡山大学)・西山成(香川大学) 「家族性大腸腺腫症に対する治療ワクチンの開発」 
5 (ビデオ) 長野拓也(東京科学大学) 「舌がんのQOLを守る:舌がん定位放射線治療を目指した陰圧スペーサーと口腔内マーカーによる高精度放射線治療の開発」 

ピッチ後の質疑応答では、野口昌克氏(広島大学)、向平隆博氏(TNAX Biopharma株式会社)、菊池崇氏(岡山大学)、宗像亮介氏(慶応大学)といったコメンテーターの先生方から各チームに専門的な視点でのコメントや助言が寄せられました。 

4. 講演セッション 

1件目の講演では、LINK-J事務局長の高橋俊一氏が「イノベーションエコシステムを知る」と題して登壇しました。高橋氏は、三井製薬工業株式会社、バイエル薬品株式会社での循環器領域を中心とした研究開発や臨床開発プロジェクトの推進を経て、現在は日本における産官学のオープンイノベーションを主導されています。講演では、LINK-Jのスタートアップ支援の取り組みや米国でのスタートアップエコシステムがどのように形成されているかといった内容について、最新の情報を基にご紹介いただきました。日本発の創薬シーズを世界に展開していくために必要な点について、大変わかりやすくご講演いただきました。 

2件目の講演では、GiFT合同株式会社藤倉礼亜氏が「デザイナー直伝!ポイントがしっかり伝わる資料作成 7つのポイント」というテーマでご講演いただきました。藤倉氏は、以前に弊機構主催で開催したイベントにおいてもピッチデッキのブラッシュアップ方法についてご講演いただき、大変好評であった講師であり、今回は2回目の講演でした。ピッチデッキの色の使い分け、文字サイズの調整、写真の取り入れ方など、パワーポイントを実際に動かしながら実践的なレクチャーをしていただきました。聴講されていた参加者の多くが釘付けとなる内容であり、ピッチの見せ方という点で大変学びのある講演をしていただきました。 

3件目の講演では、AN Venturesパートナー二見崇史氏が「VC連携によるアカデミア発スタートアップ」というテーマでご講演いただきました。本講演では、アカデミアの研究者にとって、創薬シーズにおけるサイエンスの部分をいかに固めるかが重要であると講演されておりました。また、本講演では、ピッチ登壇者との間で双方向性の質疑応答の時間も多くあり、インタラクティブなセッションとなり、多くの参加者にとって、VC関係者の生の声として大変よい学びの機会となりました。 

5.スタートアップ支援者座談会 

講演終了後、休憩を挟んで、Heartseed株式会社高野六月氏をモデレーターとしたスタートアップ支援者座談会が開催されました。パネリストには、医薬品もしくは医療機器の開発・投資経験を有する6名のスタートアップ支援者に登壇いただきました。 

パネリスト: 
井上智子氏(Red Capital株式会社)、高橋俊一氏(LINK-J)、杉浦康平氏(デンマーク大使館)、二見崇史氏(AN Ventures)、長谷川宏之氏(三菱UFJキャピタル株式会社)、森文隆氏(大鵬イノベーションズ合同会社)の6名が登壇されました。 

座談会のアジェンダとして、 
1.資金調達、初めの一歩、どうする? 
2.ネットワークをお金にかえる 
3.国の支援を活用しよう 
4.「seedsはlocal、競争はglobal」-国際展開どうする? 
5.VCがリスクを取って投資したい、経営者像/研究者像とは? 

といったテーマで熱い議論が交わされました。 

6. BPコース修了証授与、Best Pitch Awardの表彰(聴衆部門、メンター部門) 

筑波大学T-CReDO橋本機構長から、現地参加された4チームに修了証を授与しました。当日ビデオでの参加となりました東京科学大学の長野先生には後日修了証が送られております。 

また、Best Pitch Awardは聴衆部門とメンター部門に分けて投票が行われましたが、両部門において、アステラス製薬大宮誠氏が選出され、橋本機構長から表彰されました。 

橋本機構長から閉会の挨拶として、ピッチ登壇チームの皆様のさらなるご活躍と研究開発が進むことを期待するメッセージがありました。 
最後に、参加者全員での記念撮影を行い、ネットワーキングの時間となりました。 

5. 今後の予定 
10月11日(土):GET Program 2025 University of California San Diego (UCSD) コース選考会 

10 月には、国内研修(BPコース)を修了し、国際展開を見据えた更なるブラッシュアップと海外とのネットワーキングの構築を目的とした海外研修プログラムの選考会を予定しています(リンク)。Research Studioの国内研修プログラム修了者が応募できます。当日は選考会に加え、講演や9月に開催されたUniversity of Tsukuba Nightに参加したチームによる参加報告会も開催されます。