サーチスタジオ

開催報告

アカデミア発医療系スタートアップ海外展開支援 MEDISO 起業プログラム開催報告

筑波大学では、2018 年よりアカデミア発の医療系スタートアップ人材育成プラットホーム「Research
Studio powered by SPARK」を運営しており、2023 年度は、MEDISO 起業プログラムを開催しました。
6 月から7 月にかけて、橋渡し研究拠点大学を中心に連携大学を訪問し、「Mini workshop」を開催しました。「Mini workshop」では、アカデミア発の医療系スタートアップ起業を目指すチームの掘り起こし、および支援を目的として、シーズを有する研究者に対する説明会および個別相談会を実施しました。連携大学における「Mini workshop」を終えた後、9 月から開発計画策定プログラムおよび事業計画策定プログラムを開催しました。
このプログラムでは、多方面で専門性を有するメンターの協力の下、アカデミアにある技術シーズを基に医療ニーズについて徹底的に議論し、グローバル市場を視野に入れた開発計画および事業計画を立案します。医療系のスタートアップ起業を目指す研究者を主な対象者として、開発計画策定プログラム全4 回を9 月に行いました。その後、10 月に選考会を兼ねたピッチ会を開催し、選抜されたチームが参加する事業計画策定プログラム全4 回を11 月に実施しました。

千葉大学(6 月20 日)、岡山大学(7 月5 日)、九州大学(7 月12 日)、大阪大学(7 月19 日)においてMini Workshop を開催しました。Mini Workshop では、2023 年度のResearch Studio の説明会とともに、支援対象となる研究者およびチームの掘り起こしを目的として個別相談会を実施しました。
また、つくば地域では 筑波大学 産学連携企画課 革新的創薬開発研究センター (IDD)、 筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)、つくばAIST ソリューション、物質材料研究所において説明会を実施しました。
各開催地で、複数の研究者やチームが参加されました。研究成果を基に事業化を目指す研究者がNonconfidentialな情報に限って5 分間程度で発表するともに、研究者が抱える疑問や課題についてメンター陣が直接相談にのり、各研究者の考えている事業化の方向性をブラッシュアップすることができました。

Mini Workshop 岡山大学
Mini Workshop 九州大学

全国レベルで参加者を広く募り、応募があった12 チームから審査により選考された下記10 チームを
対象に、全4 回の開発計画策定プログラムをオンラインにて開催しました。

日程テーマ
9 月6 日(水)Day 1 医療ニーズ、価値提案
9 月13 日(水) Day 2競合分析、知財戦略
9 月20 日(水) Day 3非臨床POC の検討
9 月27 日(水) Day 4標的製品プロファイル作成

【開発計画策定プログラム参加者オンラインキャプチャー】

CIC Tokyo において、2 日間の日程でResearch Studio2023 のピッチイベントを開催しました。このイ
ベントでは現地およびオンライン参加のハイブリッド形式で行い、2 日間の参加者は140 名を超えました。

⚫ 10 月21 日(土)
Research Studio 海外メンターであるUCSD のDennis Abremski 氏やStanford University の池野氏を
含むメンター陣が出席し、開発戦略策定プログラムの研修を受けた計10 チームが5分間の英語ピッチ
(13 分間のQ&A)を行いました。英語によるピッチ終了後、各大学から選ばれた委員による選考会が開
催され、事業計画策定プログラムに進む6 チームが選ばれました。

⚫ 10 月22 日(日)
イベント2日目には、スタートアップ企業を目指すチームとすでに起業したチームとの交流を促進する
目的でBeyond JAPAN Zero to X (JETRO-LA)との合同セッションが行われました。UC San Diego,
Institute for the Global Entrepreneur (IGE)のDennis Abremski 氏が、 Beyond JAPAN Zero to X に関し
て紹介した後、Beyond JAPAN Zero to X に参加した先輩チーム7 組が英語での5 分間ピッチを行い、各
チームの事業や海外での研修内容などを報告しました。
JETRO、Beyond JAPAN Zero to X のページ、https://www.jetro.go.jp/services/gi/beyond_japan.html

また、2 日目の午後には、T-CReDO 副機構長である町野氏がモデレータを務め、JETRO 小倉氏、東京
工業大学 辻本氏、CIC Japan 加々美氏、新⽣キャピタルパートナーズ 藤波氏、三菱総合研究所吉田氏の
5 名をパネリストに迎えて、「スタートアップ起業支援エコシステムの現状と今後の展開について」という題目でパネルディスカッションが行われました。パネリストによる活発な議論に加え、会場にいる参加者とパネリストとの質疑応答もなされ、スタートアップ起業支援エコシステムを考える有意義な機会となりました。

【パネルディスカッション参加者の写真】

ピッチイベント1 日目
ピッチイベント2 日目

10 月21 日に開催されたピッチイベントにおいて選考された6 チームを対象に下記全4 回の事業計画策
定プログラムをオンラインにて開催しました。

日程テーマ
11 月8 日 (水)第1回ビジネスモデル、ゴール像の共有
11 月15 日(水)第2回マネタイズ(市場分析、保険償還、事業戦略)、国際展開
11 月22 日(水)第3回資金計画、資金調達
11 月29 日(水)第4回出口戦略、ロードマップ

本プログラムでは、前半の開発計画策定プログラムと同様に選考された以下6 チームが参加し、講師に
よるミニレクチャーを聴講しました。その後、各チームが毎回課題を発表するとともにチューターおよびメンターも参加してグループ討議を行いました。また、各チームの課題を深堀することを目的に6 チームは個別にチーム討議を実施し、各回の最後に参加チームからチーム討議の振り返りに関して発表しました。すべてのプログラム終了後、各チームはピッチ用動画を提出しました。

【事業計画策定プログラム参加者オンラインキャプチャー】

【抗体医学研究所】
【小胞体ストレス研究会株式会社】
【株式会社スパインクロニクル】
【チームPhysiaura】
【チームTOMOCLOUD】

⚫ 非常に充実したプログラムであり、メンターでありながら学びが多かったと思います。学んだこ
 とを自身が行っているスタートアップ支援の見直しに活用したいと思います。
⚫ 研究を事業にするモチベーションのある人が周りにいなかったので、良い刺激をもらいました。
⚫ 医療の専門家に事業化について本格的なアドバイスをして頂き、学びのレベルが段違いに高いと
 感じました。毎回いいご指摘をいただき、唸ることしきりでした。また、メンターの先⽣方の熱
 量にも圧倒され、大変良い刺激でした。コースを通して、千金に勝る学びを得ました。
⚫ 大学に所属しているだけでは出会うことができない方達のご意見をたくさん聞ける場でした。チ
 ームの皆様が毎週課題をこなし、ブラッシュアップされていく様子を見させていただき、自分の
 モチベーションにもつながりました。貴重な機会をありがとうございました。
⚫ インターン⽣としての参加で、わからない箇所も少なからずあったのですが、非常に勉強になり
 ました。参加チームの方々の事業が各回を通じてブラッシュアップされていく様子を拝見させて
 いただき、将来的に自分のアイデアやビジネスを持ち込みたいなと感じました

本プログラムを終了した複数のチームが他のピッチイベント等に登壇するとともに、その活動を
評価されています。また、海外で起業するチームも認められており、国際的な開発戦略を有する医
療系ベンチャーの起業や発展につながる人材育成プラットホームとして、今後も運営を継続してい
く方針です。